革製品を長い期間使い込むと、外見や質感が変化します。それを経年変化といい、革製品の醍醐味ともいわれています。ここでは、経年変化を楽しむための方法をご紹介します。
経年変化って何だろう?
革製品は、使っていると見た目が少しずつ変化していきます。布製品の場合は、繊維が擦り切れたり色あせたりと、丁寧に使っていても徐々に劣化してしまいます。しかし、革製品の材料である動物の皮は、内臓や筋肉、骨をしっかりと守ることができるほど丈夫でやわらかく、弾力性もあるので、ハードに使っても傷みにくいです。そのため、正しくケアしながら使うと劣化せず、むしろ時間の経過と共に味が出てきます。新品の状態でお店に並んでいるときはどの商品も同じに見えますが、使い方によって表情が変化するため、持ち主の個性が表れます。このような変化のことを経年変化というのです。
どう変わって行くの?
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経年変化と一口にいっても、実際にどのように変化するのかピンとこない方もいるのではないでしょうか。ここでは、革製品の具体的な変化の様子について説明します。革製品をしばらく使っていると、手の脂によって自然につやが出てきます。また、自然な日焼けによって、色が濃くなっていきます。財布やバッグ、定期入れなどの、手で触る機会が多いアイテムは、よく触れる部分の色が特に濃くなったり、つやが出たりするので、独特の柄になっていきますよ。特に、ヌメ革は経年変化が分かりやすい素材です。新品のときは白っぽいオレンジ色をしていますが、長い間使うとあめ色に変化します。しかし、なかには加工の方法によって経年変化が表れない革製品もあります。経年変化を楽しみたい場合は、購入する前に確認しましょう。
ヌメ革の経年変化をスピードアップさせる方法
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ヌメ革に限ってですが、経年変化を早める方法があります。新品のヌメ革製品を日光に当てると、革の表面が日焼けして、色が濃くなるのです。天気の良い日の昼間に窓辺に置いたり、ベランダに出しておくだけなので、とても簡単ですよ。ただし、同じ面ばかり日に当てると、色の境目ができてしまうので、長い時間放置せずに、向きを変えてまんべんなく日に当てるようにしましょう。また、日焼けが進みすぎると革に含まれている油分が失われてかさついたり、ひび割れの原因になったりするので、当てすぎは禁物。経年変化が楽しみで待ちきれない場合はもちろん、ピカピカの新品を人前で使うのが何だか恥ずかしい、使い込んだ感じにしたい、という場合にもおすすめの方法です。
経年変化を楽しむために
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使っているうちに自然にツヤが出るとはいえ、長く使うためにはやはり丁寧なお手入れが必要です。特に、財布やバッグの持ち手など、手や指がよく触れる場所には手垢や手から自然に出る油分がついて黒ずんでいくので、経年変化と汚れの区別がつきにくいことも。黒ずみも、もちろん経年変化の一つとして楽しめますが、色むらがひどくて見栄えが悪いと感じるときや、色が濃くなりすぎているときは、ケアをしましょう。革製品専用のクリーニングクリームをやわらかい布に少量つけ、革小物に軽くなじませます。余計な脂や汚れが取れて、革本来の色が現れますよ。逆に、ほとんど手が触れない部分はかさついて、ひどくなると革がはがれてしまいます。定期的にチェックして、かさついている部分には栄養クリームを塗るようにしましょう。やわらかい布に栄養クリームを少しだけつけて、かさついている部分に塗りこむと、改善しますよ。
傷が「味」になって行く
日頃から丁寧に使っていても、知らないうちに傷がついてしまうことがありますよね。傷がついてしまったときは、革製品専用の栄養クリームをやわらかい布につけて傷の部分にやさしくすり込むと、傷が目立たなくなります。また、傷をあえてケアせずに残すと、経年変化と共に傷そのものが個性になり、他のものにはない味が出てきますよ。
革製品を長く使って経年変化を楽しむためには、結構手間と時間がかかるものですね。革製品を使い込むことを、よく「革を育てる」といいますが、ていねいに手入れをしながら使うと愛着も湧いてきますよね。いきなり凝った手入れをするのは大変ですが、できるところから少しずつ始めると、楽しみながら続けられるのではないでしょうか。