カバンや靴、キーケース、家具に至るまで私たちの身の回りには革製品がたくさんあります。それらのひとつひとつが何の革からできているのかを考えたことはありますか?特徴的なものを除いて、ある程度知識がないと見分けることは難しいですね。ここでは、そんな革の種類の見分け方についてご紹介していきます。
多種多様な革製品
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革製品に使われる素材にはたくさんの種類がありますが、主に牛や馬、羊、豚など、人間が食する家畜の革が中心です。その他にもカンガルーなどの珍しい哺乳類やワニなどの爬虫類、魚類など、さまざまな動物の革が革製品へと加工されています。どの製品にどの動物の革を使うのかは、革の特性に応じて選ばれています。例えば、カンガルーの革は薄手で軽く伸縮性があるので、スポーツシューズに採用されることが多いです。
牛革の特徴と見分け方
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まず、数多くの動物の革の中でも幅広く使われているのが牛革です。革製品の中ではバッグ、ベルト、財布、革靴など数多くの製品に使用されています。牛は食肉としても広く流通していて、一頭あたりの面積がとても大きいので、たくさんの革を取ることができます。そのため、革製品を生産するのにもとても効率がよいとされています。日本でも牛革の生産が行われていますが、その原料の多くはアメリカやオーストラリアなど海外に頼っています。ベンズと呼ばれる背中からお尻にかけての部分は厚くて線維の密度が高いので、靴底やベルトなどに使われています。首から肩にかけてのショルダーという部位はトラと呼ばれるシワがあることが特徴で、それを活かした鞄などの製品が作られています。ベリーというお腹から脚にかけての部分は、線維が少し粗めで面積が小さいため、小物などに使われています。
羊革の特徴と見分け方
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手袋や袋物、レザージャケットなどの防寒具などによく用いられているのが羊革です。ヘアシープという肉食用の羊の革と、ウールシープという毛を利用される羊の革とでは、表面の模様が異なります。ヘアシープは表面がなめらかで美しく、ウールシープは表面にシボと呼ばれる模様があり、それを活かした製品が作られます。また子羊の革はとても軽く、高級な革として扱われており、ラムスキンと呼ばれています。
豚革の特徴と見分け方
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豚の一枚革のことを、豚革(ピッグスキン)といいます。多様な革の種類の中でも、日本で自給自足できて海外にも輸出しているものです。表面にシボがあり、3つの毛穴が並んでいるのが特徴で、牛よりも軽いため小物や鞄など幅広く使われています。特殊加工を施すことが可能で、ラメやプリントなど表面加工されているものも多いです。
馬革の特徴と見分け方
馬の革も半身に切ったホースレザー(馬革)として革製品に使われています。中でもコードバンと呼ばれる馬のお尻の部分から取った革は、光沢が美しいことで有名です。左右のお尻部分がきれいにそろったコードバンは非常に価値が高く、その形状から「メガネ」と呼ばれています。全体的にきめが細かく、牛革と比較すると伸びが少ないのが特徴です。レザーパンツや革ジャケットなどによく用いられています。
とかげ革(クロコダイル)の特徴と見分け方
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光沢感があり、傷がつきにくい丈夫な革です。革表面のとかげ模様は、小さな円状のものが連なっているような模様になっていて、デザインのアクセントとしても、傷から守る役割としても重宝されています。
蛇革の特徴と見分け方
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蛇革は、やはり個性のある鱗が特徴です。蛇の種類によってもさまざまですが、一般的なのは蛇革の総称となっているパイソンレザー(ニシキヘビ)です。特に、ダイヤモンドパイソンと呼ばれるものは、全身にダイヤ型の連続的な模様があり、縁起物としても人気があります。
これまで挙げたものの他にも、シカ、サメ、ダチョウ、アザラシ、エイなど、ほとんどの動物が革に加工されているといわれています。流通している量はそれぞれ異なりますが、その独特の風合いや模様が愛好家に愛されています。また、最近では合成皮革も多くのものに使われています。ひとつの素材でも時間を追うごとに変わっていく表情が魅力の革製品。それぞれの特徴を掴んで、家にある革小物やショーウィンドウに並んでいる革製品がどの革でできているのか、考えてみるのも楽しいかもしれませんね。